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科会だより




 

日 時 2011年11月30日(水)
会 場 横浜ワールドポーターズ
開 演 11時 


実践被服 科会創立20年を記念して、染色作家で絞り染研究家の安藤宏子氏の講演会が行われました。参加者は69名。遠くは岩手県、静岡県、京都府からもご参加下さいました。
会場に入るや、天井から展示された大きな作品に目を見張るばかり。様々な絞り技法を駆使した藍染めの大胆な構図の大作が、宙に舞っているかのようでした。

机の上には沢山の手法の絞り見本と解説書の数々。

入手困難とされる自生の日本紫で染めあげられた紫地のきものや、日本茜の根から染められた鮮やかな茜地(朱系)の反物や、藍色の きものに施された素晴らしい絞り柄。その高度な技術の陰にどれほど手間と根気が費やされたことでしょう。


鑑賞の感動もつかの間に開演の時を迎えました。
事業部長の司会で会長のご挨拶、講師のご紹介へと進みます。

 母校ご卒業の安藤宏子様は大分県(豊後)のご出身。名古屋の勤務地より絞りの世界へ傾倒され40余年。
各国をも巡り100種類もの日本の絞りを体系化されました。



日本最古の絞りは正倉院所蔵の奈良時代の絹地の絞り。室町末期〜桃山時代に出現した辻が花染めの絞りはやがて消失し、江戸時代では華やかな京鹿の子絞りが隆盛となりました。

先生の研究契機とも言える400年の歴史を持った名古屋の有松、鳴海絞りと大分の豊後絞りとの関連性や更には豊後絞りと西アフリカの絞り染めとの比較、染め上がりが同じという共通性をご指摘下さいました。アフリカ象牙海岸の地域辺りが絞りの原点ではないかしら(!?)とのお話も興味深く、充実した時間は瞬く間に過ぎて行きました。長い歴史の中で培われ、受け継がれて行く「絞りの文化と技法の芸術」。本講演ではその魅力を存分に堪能させていただきました。プロジェクターを用いた臨場感ある解説に参加者は魅了されるばかりでした。
安藤宏子先生、貴重なご講演、本当に有り難うございました。

閉演後は会場を移し、近くのヨコハマ グランド インターコンチネンタホテルへ。会食は2階のフランス料理レストラン『アジュール』。

フランス語で空や海の青を意味するそのお店はフランス人デザイナーの内装とか、インテリアに優雅な雰囲気がいたします。
安藤宏子氏、桜会鍛島理事長、被服科会佐藤会長各氏よりご挨拶を頂戴し、各テーブルには楽しい会話が弾みます。

フランス人シェフによるお料理も美味しく、ウエイターの細やかな心遣いとお店のサービスに和みながら横浜でのひとときは過ぎて行 きました。
(文責・撮影:西向、浅野、大橋)