千葉支部

ミニ同窓会のご報告
2008/01/27
主役にスポットライトを当てる脇役に感動!
留学生交流会に参加して
礒野令子(45年大被服)
留学生交流会、お茶、着物、お琴と親しむ、どの様な事が私の目の前で展開されるのか 分からないまま参加させていただきました。私の役割 はお茶でした。私は日野の一期生 です。大学を卒業して40年余り 日野がどのように変わったのか、それも楽しみでした。
 参加して感動でした。それは留学生に日本の文化を味わってもらおう とする周りの人々 の姿でした。筝曲部着付け部の学生、その学生をサ ポートする方、千葉支部のスタッフの 方とサポートする方、皆さんがそ の為に一丸となっていたのです。大学は明日から後期の テストです。に もかかわらず留学生に喜んでもらえる様にと出てこられた学生の姿があ り ました。自分の事しか考えない若者が多い中、テストは学生にとって 大切な事です。実践 の学生の心は、卒業した私としては嬉しさ一杯でし た。相手のことを思いやる姿、自分が 大変の中でも人のために役立とう とする学生の姿に私の心は感動して心温められたので す。 浴衣を着せられ、晴れ着を着せられた留学生は嬉しそうでした。筝曲部の学生が奏 でるお琴の曲を聴きながらお茶を一服、美味しい、と。千葉支部の山田 さんが日本舞踊を ご披露されました。支部長の出家さんは留学生に喜ん でもらえる為に頭の中で色々な事 を考えて行動され、東さんは着物姿の 留学生により美しくと色々な角度からカメラを向け ていました。髪を結 い上げてもらった留学生の晴れ着姿は、美しい!一言でした。私はま る でミニ成人式を見ているようでした。留学生は嬉しくて、嬉しくて、い とおしそうに何回と なくお袖を撫でて着替えたくない様子。留学生のそ の光景は、主役になった俳優さんが 晴れ着を着て舞台の真ん中でスポッ トライトをあてられて、嬉しくてクルクル回っている姿、 そのものでし た。その周りには脇役さんが嬉しそうに。着付けをされた鈴木さんが、「日本人に着せるよりもやりがいを感じるの、こんなに喜んでくれるの ですもの」と言われた言 葉が私の心に残りました。その言葉から今の日 本の若者の姿が読み取れたのです。
 すべてを終えて駄菓子を食べながらの雑談で、学生さんに聞きまし た。「どうして、着付 け部に入られたの?」「母がやっていますので、 母と同じ事をしたくて、でもお母さんから まだまだ、と言われてしまう の」と。温かい言葉です。そんな言葉が返って来るとは思って もいませ んでした。お母さまはさぞ嬉しい事でしょう。相手を思いやれる心は、 自然と優し い言葉が出て来るのですね。
 40年ぶりの日野は変わっていました。周りは簡素な住宅街になって昔の 面影はありま せんでした。帰り路、日野駅のホームから澄みわたった夕 暮れ時の空の遥かかなたに連 なった山々の美しさが私の眼に焼きつきま した。又その空に留学生が国に戻られて晴れ 着姿の美しい娘の写真を嬉 しそうに眺めているご両親の姿と、親子で着付けをしている姿 が描かれ て、私の心は温かさ一杯になりました。そして私もふと忘れていた母の 言葉を 想い出しました。母がクラブは茶道部にしたら?その一言で私は 大学4年間を実践の茶 道部に所属したのだと。母はお嫁の道具として茶 道具一式を持たせてくれたことを。その お茶碗がまさか日野まで小さな 旅をするとは、留学生のお役に立てるとは夢にも思っても いませんでし た。(私のお碗も人の役に立ててよかったねっ、)とお茶碗に心の中で 語り かけました。
 千葉支部がこの様な事をされているとは、素晴しいです。スタッフの 皆様に頭が下がり ました。寒い一日でしたが、久しぶりに心が温まり家 路に着きました。良い経験をさせて いただきました。有難うございまし た。
                                          写真もご覧下さい。

新支部長  芝田エミ
 満開の桜も葉桜になり、いよいよ新年度がスタートしました。
千葉支部のみなさまにおかれましては、お元気でお過ごしでしょうか
去る3月16日(日)、京成ホテルミラマーレ(千葉市)で開催されま した5周年記念総会 におきまして、私達新役員6名はみなさまのご承認 をいただき、立ち上げから5年間ずっ と千葉支部を引っ張ってきて下 さったパワフルな旧役員の方々からバトンタッチいたしま した。まだまだヨチヨチ歩き出ですが、千葉支部も新しいスタートの春となりました。
 総会は、現学長の湯浅茂雄先生を初め、前学長の飯塚幸子先生、桜会理 事長の若 松幸子さん、他たくさんの来賓の方々のご出席をいただき、総勢110名という盛大な会 となりました。みなさまの、ご協力、温かいご声援に役員一同、感謝の気持ちで一杯で す。本当にありがとうございました。
 総会に加えて千葉支部のメイン行事である、女性シリーズの講演は、実践女子大英 文科教授・小柳康子先生による「イギリスの女子教育の先駆者バトスーア・メイキン」に ついてでした。女性の学問の重要性を世に問い、女子教育の先駆者としての生き方は、 学祖下田歌子先生の人生 とも重なり、私たちには興味深く、もっともっと頑張らなけれ ばという 思いになり、たくさんの課題をいただいた有意義なお話しでした。
 続きまして、千葉支部立ち上げの時から、いつも温かく見守り、全力でサポートしてく ださった前学長飯塚幸子先生に、今までの感謝の気持ちを込めまして、支部会員の日 本画家・中島志緒さんの「桜」の絵と、5周年記念として会員の方々の思いを綴った文 集「5年のあゆみ」を、 贈呈いたしました。このセレモニーにいただきました、みなさまか らの カンパに深く感謝いたします。
 また、5周年記念総会ということで、会員のみなさまによるアトラクションも、日本舞踊 (山田幸子さん)、朗読(鵜沢和子さん)、独唱 (西川美恵子さん)と、盛りだくさんで、 楽しい充実したひと時を、みなさんと共有できました。
写真  もご覧下さい。

ミニ同窓会を済ませて
久莪好(S14家専卒)
   去る4月5日の佐倉に於けるミニ同窓会は、会員皆様の温かい御協力 により、予定どう り実施する事が出来まして、佐倉在住の私として真に喜ばしい事でございました。今年は 格別に気候の変化激しい日々にも関 わらず、希望の桜は丁度満開になり、しかも晴天、 気温も中程度と奇跡 にも最良の日を迎える事が出来ました。御出席者は23名、東京、 県内でもかなりご遠方から御出席なさいましたので、ゆうゆうの里(老人施設)の職員も喜 び、よく協力してくれました。その喜びが、何事も予定に合わせて進行され、無事に済ませ る事が出来たのでございましょう。又私が特に感動いたしました事は、前学長飯塚幸子先 生がお持ち下さいました三枚の絵葉書でございます。特にその一枚は、昭和十一年、 私が入学した年に下田歌子先生がご出版された「源氏物語現代語訳 第一巻」の御本を写 されたもので、この立派な御本が当時、学生の教科書として使用されました。私は、今も 大切に持って居ります。毎週一時 間、広い大講堂に於いて所属する各学科(当時の家政・ 被服・国文・英 文等)に関わらず希望すれば、受講が許されました。私も早速お願い し、 早速下田先生御自身が御教へ下さる講堂へ受講の時刻には、逸早く 駆けつけ、何時も最前列に席を取り、先生の御言葉は一言も漏らさじと 伺ったものでした。
 しかし五月から始められ夏休み後の九月終わりから休講になってしま いました。何も知 らず、早く講義をお続け下さる日をお待ちして居りま したが、十月に御逝去遊ばされたと伺 い、驚きにただ茫然自失した事を 今も思い出されます。残念乍ら、下田先生の源氏物語は 第一巻だけで終 わりとなり、その後他の文学者が次々と訳本を出されましたが下田先生 は、宮中の御事情にお詳しいので大変細々と、他の文学者と異なりお記 しなされて居りま す様に存じます。
 今まで健康だけが取り得で、初めて二ヶ月余りの入院をした私が、ミニ同窓会を引き受け て、どうなるかとご心配下さる方も多い中で、私自 身が驚く程速く快癒いたしましたのも、 何とか今年は実現し、皆様とご 一緒に楽しみたいと思う私の一念を後押し下さって大変御協力下さった 皆々様に厚く感謝致します。
 有難うございました。年令を重ねるだけで、何の進歩も出来ぬ私です が、今後ともよろし くお願い申し上げます。

“老い”を生きる  ━久莪さんを訪ねて━
大平眞理子 (43年大食卒)
私たちは老後の生活を考えたとき、いかなるライフスタイルを掲げよ うと加齢による健康状態を考慮せざるを得ません。老後の選択肢の一つ である「老人ホーム」での生活を選ばれ、89才の年齢を豊かに過 ごしていらっしゃる久莪さんをお訪ねしました。
江戸時代の面影を残す佐倉藩の城下町・佐倉にある有料老人ホーム「ゆ うゆうの里」で久莪さんは暮らしていらっしゃいます。約一万坪を有す る敷地。満開の桜並木と樹々の緑に囲まれて、どこか山荘を思わせる静 かな環境。ここで60才以上の450名の方が生活していらっしゃいます。
 先ず、入口のショールームで、久莪さんのフォト五七五作品展が私たち を出迎えてくれました。端正な仕上がりで年代の実力を感じます。流れ ゆく一時を写しとめ、心の反映を句にして伝える。

〜作品展より〜
写真(紅葉した静寂な林)
句  榾積みて閉ざす日近き山の宿
             ━榾(ほだ) たき火にする木の切れ端━
写真(ほころび始めた梅の花一枝のクローズアップ)
句  梅咲くや忘れし琴の音を聞かや

 これらの写真(一眼レフ)や俳句の趣味は、落ち着いてきた55 才から始められたそうで す。励まされますよね。
 続いて、担当の方が施設内を案内して下さいました。独立した居室 (1K〜2LDK)、共 用施設(温水プール、体育室、図書室、手芸室 等)、食堂、ケアセンター、売店、日常生活 サービス(宅急便の取次、 銀行・理容室の出張サービス、マイクロバスの運行等)、施設 内だけで も充分生活していける体制です。なお、健康な方々は普通のマンション 暮らし同 様、なんの束縛もなく自由に生活しています。違うところは、24時間職員がいるので病気の 時など即対応してもらえるという“老いへ の安心感”があることでしょう。敷地内に診療所も あり医師、看護師が常勤しています。介護の必要性が生じてくれば、スタッフが一人付き、 きちんとお世話をして下さいます。この「ゆうゆうの里」では、生涯を 過ごしている人が殆ん どだそうです。
 気になる費用ですが入居金2300〜3300万円、月々の生活費 が12万円かかります。費 用は入居してからも楽しむための趣味や 旅行費等、また介護を要するようになれば介護 代が加算されていくわけ ですから「老後の生活設計」をきちんとされていない限り「高嶺の 花」 といったところでしょうか。
 なお、ここに入居の方は人間関係のトラブルもほとんどなく、ゴミス テーションなどきれい になっていて、モラルのある意識の高い方が多い とのことでした。
 また、開設20年になるそうですが、どの棟も窓が広くとられ、 とても明るく、自然の中で 生活しているような開放感と心の安らぎを感 じました。
 団塊の世代も還暦を迎え、社会全体が益々高齢化していきます。又老 化に伴い、人生 も人それぞれ開きがでてきます。若い世代の意識や考え 方が変化していくなかで、“老い のあり方”は考えておくべき課題で しょう。
 今回のミニ同窓会は、久莪さんが桜の見頃に合わせ、病後の身体を頑 張ってリハビリさ れ、こぎつけて下さいました。深く感謝いたします。
写真をご覧下さい。